01
化合物デザイン

弊社が持つ化合物デザイン技術の基本コンセプトは、タンパク質の一部である ペプチド(図1-1)を模倣する技術にあります。 約10種類のアミノ酸側鎖を有する籠型骨格化合物(図1-2:黄色)を作り、 そのペプチド(図1-2:赤色)の側鎖三次元構造を精緻に模倣することができます。
この技術により合成した低分子化合物は、細胞内へ浸透できる能力を維持しつつ、 細胞内で発生しているタンパク質間相互作用のみに対して選択的に作用することが可能です。
また、精緻な化合物設計により、従来の低分子医薬品よりも、標的以外のタンパク質には作用が少なく 副作用のリスクを抑えた医薬品開発が期待できます。

図1-1 タンパク質とペプチドの構造

図1-2 ペプチド模倣技術

02
独自ライブラリーの活用

化合物骨格の選抜では、図2-1にあるように阻害するタンパク質のポケットの構造に適合した化合物を選んでいく必要があります。 また、適合の可能性が想定される形をいかに数多く取り揃えられるかが重要と考えております(図2-2)。
現在のところ、有用な化合物としてAlkaloid Compound Library Systemと名付けられた6骨格6000化合物(ACLS)からなるライブラリーを所有しており、 複数のターゲットに対しての有用性を確認しております。

図2-1 標的タンパク質に作用する化合物

図2-2 化合物ライブラリーのイメージ
(骨格は6種変化させている)

これまでの研究では、籠型骨格の微妙な構造の違い(側鎖の向きで5~10度)により、活性が大きく異なることがあります。
今まで、タンパク質間相互作用を阻害する化合物を見出すことは困難でした。
しかし、ACLSを用いれば相互作用ポケットに結合する化合物を得ることができます。 得られた釣り針としての化合物は側鎖構造を容易に変換でき、構造最適化を短期間で達成できます。
ペプチドと標的タンパク質の3次元構造が解明されている場合、ペプチドの構造を模倣したACLS化合物の活性を実際に調べることができます。 既に複数の共同研究によりこのアプローチを実施中であり、有用性を確認しております。

03
新規ライブラリーの作成

天然物合成において豊富な実績を有する先生方とともに、新規籠型骨格の構築を日々検討しております。

04
最適な化合物への改良技術

ACLSおよび追加を進めている化合物ライブラリーは釣り針であり、医薬品としての最適化が必要になります。 この最適化においては、主に株式会社理論創薬研究所と共同で実施をしています。得られたデータによりますが、 種々のコンピューターを用いた解析技術を駆使しており、その中の1つが、AIを用いた「画像解析」技術の応用です。 (Molecules 2021, 26, 4475)その他にも、DeepSARMなども用いています。

図4-1 AIを用いた創薬の加速の模式図